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教育福祉労働

 

議会報告

2023年第3回定例会行われる(2023/9/19~10/4 )

佐藤樹一郎知事「原型復旧はもとより、再度災害防止に向けた機能強化を図る
 9月19日(火)から10月4日(水)にかけて大分県議会2023年第3回定例会が行われました。
 本年6~7月に県内を襲った大雨による災害復旧費101億2,823万千円を盛り込んだ総額192億2,450万円の一般会計補正予算案など21議案が上程され、最終日に全て可決されました。(本年度の累計は総額7,438億3,550万円)

 県北部と西部を中心に被災した河川や道路、漁港などの本格的な復旧・復興に着手するとともに、一部の河川は再発防止に向けて改良工事も進められます。
 佐藤樹一郎知事は提案理由説明で「災害復旧では、原形復旧はもとより再度災害防止に向けた機能強化を図っていきたい。また、新たな行財政改革計画についても策定を進め、確固たる行財政基盤の構築に努めていきたい。」と述べています。
 また、最低賃金が大分地方最低賃金審議会の答申通り、現行から45円引き上げ899円となったことが報告され、「県として企業の生産性向上や原材料費や燃料費等の上昇分を適切に価格転嫁できる環境づくりを支援する。」と述べています。
 財政面では、2022年度の決算剰余金を財政調整用基金などに積み立て、本年度末の財政調整用基金残高は329億円となる見込みとなります。行革目標は330億円ですが、目標に近づいていることは評価できます。

今定例会で提案されている新規事業を紹介
 
土木施設災害復旧事業(74億5,400万円)は、国道212号など道路32カ所、中津市の山国川護岸など河川194カ所を修復します。中津市の小祝漁港の海底の土砂の除去を行う漁港災害復旧事業(3億6,000万円)、由布市湯布院町畑倉地区での地滑り対策を行う緊急地すべり対策事業(2億4,750万円)、日田市の小野川の護岸のかさ上げを進める河川災害関連事業(1億8,930万円)などの改良工事などの予算がつけられました。
 
文化財保存事業補助事業(183万円)は、被災した国指定重要無形文化財である日田市の小鹿田焼の唐臼(写真)、県指定有形文化財の中津市の羅漢寺橋の欄干などの修復を助成。
 また、運輸業で残業規制が強化される「2024年問題」に対応するため、トラック事業者の経営改善を支援する
貨物自動車運送業環境改善緊急支援事業(3億2,581万円)を進めます。

大分市東大道に新たに大分県立中央支援学校
 予算外議案では、大分市東大道に新たに開校する大分県立中央支援学校設置に向けた条例の一部改正案が可決されました。

県民クラブから2本の意見書案を提出
 今定例会では、県民クラブから「陸上自衛隊大分分屯地に新設する火薬庫への長距離射程ミサイルの保管に反対する意見書(案)」と、「健康保険証の存続を求める意見書(案)」の2本の意見書案を提出しました。
 大分市敷戸にある大分分屯地の火薬庫増設計画により、「有事の際に攻撃対象となる可能性」や「火災や事故の際の被害範囲の拡大の危険性」が高まるのではないかという地域の方々の不安の声を受け止め提出しました。
 また、マイナンバーカードを健康保険証として利用することは否定しませんが、マイナンバーカードの運用トラブルが続々と報告される中で、システムの総点検を行うとともに、これまでの健康保険証も存続すべだと考え意見書案を提出しました。
 最終日の採決では、残念ながら賛成少数で採択されませんでしたが、大事なことや必要な事は言い続けていきます。


2023年第2回定例会行われる(2023/7/5~8/2 )

「安心元気」「未来創造」 ~佐藤新知事、所信表明~
 7月5日(水)から8月2日(水)にかけて第2回定例会が行われました。また、会期中には、予算案を集中審議する予算特別委員会が開催されました。

 開会の冒頭、佐藤樹一郎知事が下記のように所信表明を行いました。

 当面する課題にしっかり対応し、力強い推進力で大分県を新たなステージへと発展させていきたい。そのため、「対話」「継承・発展」「連携」という3つの基本姿勢を徹底した上で、「安心元気」「未来創造」を県政執行の方針とし、誰もが安心して住み続けたい大分県、知恵と努力が報われる大分県、誰もが訪れたい大分県づくりに全力を尽くしたい。
 また、安定的な財政運営に向け行財政改革を徹底し、確固たる財政基盤構築に努めたい。

「コロナ禍で失った元気を取り戻す」
 今定例会、佐藤新知事は政策的な事業を計上する「肉付け予算案」を提案。
補正額は472億5,900万円で当初予算を含めた総額は7,246億1,100万円となり、過去最大となっています。
 コロナ禍で疲弊した地場産業の振興、喫緊の課題である物価高騰や人口減少等の対策にも配分されており、知事のやりたいことが示された予算案だと感じています。
 知事による予算説明の際には、「コロナ禍で失った元気を取り戻し、若者が誇りを持てる大分をつくっていく第一歩として、しっかりした予算が組めた」と言われていました。

長期総合計画を前倒し刷新
 また、県政の指針である長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」(20年に改訂版策定、24年度末終了予定)について、時代の変化に即した行政運用を図るため、その終了を待たず、有識者会議を立ち上げ新たな計画策定作業に入ることを表明しました。

尾野賢治副知事再任
 
開会日には、7月5日で任期満了を迎える尾野賢治副知事の再任案も審議し、全会一致で同意しました。任期は6日から4年間となります。

新規事業を紹介
 今定例会で可決された事業の中から、新しい視点の政策立案をめざす特別枠
「新おおいた創造・発展枠事業」(66事業・21億800万円)赤字で表記)を中心に、分野別に特徴的な新規事業(青字で表記)を紹介します。黒字は継続事業ですが、一部新規事業が含まれています。( )は予算額
【人口減少・移住】
 
若年者移住サポート事業(3,794万円)は、若年層の移住を促進するため、「転職なき移住」の推進に向け、都市圏のリモートワークが可能な企業等に対する働きかけを強化し、ニーズにあった情報発信や移住に向けた転職支援を行います。
 近隣に産婦人科医療機関のない妊産婦が安心してこどもを産むことができるよう、
妊産婦健診等支援事業(388万円)では、健診や出産に要する交通費や宿泊費を補助する制度を創設します。
【エネルギー】
 中小企業等のカーボンニュートラルへの対応を図るため、エコエネルギーの導入に対する支援として
中小企業等エコエネルギー導入支援事業(4億2,500万円)を進めます。
 地域への再生可能エネルギーの導入を推進するため
地域再生可能エネルギー導入推進事業(4,3600万円)では、高効率給湯器を導入する一般家庭等に対する助成や、県有施設への再生可能エネルギー導入に取り組みます。
【資源・環境保護】
 温泉資源の保護と適正利用を推進するため、
温泉台帳電子化事業(1,146万円)では、温泉データの効率的・効果的な活用により、温泉台帳の電子化に取り組みます。
 
広域景観保全・形成推進事業(425万円)は、良好な広域景観の保全・形成を図るため、市町村や地域と協働して各エリアの景観形成基準の見直し等を行います。
【医療・福祉】
 在宅療養ニーズの増加に対応するため、
訪問看護強化事業(759万円)では、訪問看護ステーションの拡充の支援と、訪問看護人材の確保を行います。
 こどもの居場所を確保し、貧困の早期発見等に繋げるため、子どもの居場所づくり推進事業(500万円)では、こども食堂が実施する環境整備等に対し助成します。
【農林水産】
 持続可能な中山間地農業の確立のため、
中山間地営農経営体強化対策事業(9,697万円)では、集落営農組織等の収益構造の改革や大規模経営体による連携・統合を支援します。
 
ヒラメ養殖業成長産業化支援事業(4,183万円)は、ヒラメ養殖業の成長産業化を推進するため、他魚種と同様の治療薬の承認拡大と、省力化に向けたスマート技術開発を行います。
【写真は、成長を早める効果があるという緑色のLEDライトを照らしているヒラメ養殖場の様子(津久見市鳩浦)】
【教 育】
 地域の高校において多様な進路選択に必要な教科探究力を向上するため、大学と連携した特別講座等を実施する
地域における個別最適な学び推進事業(1,033万円)を実施。
 来年度、北部九州ブロックで開催される全国高等学校総合体育大会における本県代表校及び選手の入賞に向け、
全国高校総体競技力向上対策事業(1,868万円)は、高校生を対象とした競技力向上対策を進めます。
【物価高騰対策・地域経済活性化】
 エネルギー価格の高騰による市民生活への影響が大きいことから、LPガスの一般消費者や特別高圧契約で受電する中小企業に対して支援する
LPガス等価格激変緩和対策事業(20億6,500万円)では、一般家庭(約35万軒)にも1契約あたり3,000円補助します。
 地域経済の活性化を図るため、
地域消費喚起プレミアム商品券支援事業(20億1,000万円)によりプレミアム付商品券を発行する商工会・商工会議所等に対して、市町村と連携して取り組みます。
【DX(デジタルトランスフォーメーション)推進】
 中小企業等のDX注1化の第一歩を後押しし、各社の課題を解決するため、
中小企業等デジタルスキル向上支援事業(3,165万円)は、即戦力となるデジタル人材の育成とデジタルツール導入をワンストップで支援します。
 
行政DX推進事業(1,670万円)では、県と市町村が連携し、利便性を高めるため市町村行政のDXを推進するとともに、行政DXの担い手となる職員を育成します。


2023年第1回臨時会行われる(2023/5/18~19 )

正副議長選出、原田は土木建築委員会
 5月18日(木)と19日(金)に改選後初めてとなる第1回臨時会が開催されました。
 臨時会では議席の決定後、正副議長の選出、議会運営委員会や常任委員会などが決定しました。原田は久しぶりに土木建築委員会に所属することになりました。
 開会前には佐藤樹一郎・新知事が「県民の幸せのため日々全力で、粉骨砕身の覚悟で県政を運営していく」と挨拶しました。所信表明と「肉付け予算」案審議は第2回定例会で予定されています。
【写真は、議長選の投票の様子】


2023年第1回定例会行われる(2023/2/27~3/17 )

広瀬知事「豪雨で被災した地域の復興、子ども子どもの居場所づくり、先端技術の活用などできるだけやり残しのないよう臨んだ」
 2月27日(月)から3月17日(金)にかけて大分県議会2023年第1回定例会が開催されました。
人件費など恒常的に支出が必要な義務的経費と、22年度からの継続事業が中心となるいわゆる「骨格予算」として総額6,773億5,200万円の予算案が上程。これは、2022年度に比べて404億8,900万円(5・6%)の減であるものの、広瀬県政で3番目に大きい規模です。
 歳入では、県税や国からの地方交付税は増える見通しで、貯金に相当する財政調整用基金は50億円を取り崩し、残高は2023年度末で約286億円の見込みとなります。また、借金に当たる県債残高のうち、交付税措置のある臨時財政対策債を除いた実質的残高は約6,063億円で、行革推進計画の目標である6,500億円以下を維持しています。

 例年、政策的な事業は予算特別枠として上程されていますが、今年度は新知事のもと6月に開催される第2回定例会において、「肉付け予算」として補正案が上程されることになります。

 最後の当初予算編成となった広瀬知事は、「豪雨で被災した地域の復興、子どもの居場所づくり、先端技術の活用などできるだけやり残しのないように臨んだ。(次の知事が補正予算を編成しやすいよう)財政の健全性も確保した」と記者会見で述べています。

 また、予算外議案では、発電所のリニューアルなどに伴い企業局の職員定数を15人増やす条例改正案、2031年度までに職員の定年を65歳まで段階的に引き上げることに伴い、退職手当支給の安定的な経費確保に向けた基金創設案、幼児の通園バスで点呼等による所在確認やブザー等の見落とし防止装置の設置を義務づける児童福祉施設の基準を定める条例の一部改正案、自転車通学生のヘルメット着用の努力義務を全ての自転車利用者に拡大する道路交通法を踏まえた関連条例の一部改正案などが上程され、最終日に全て可決されました。

2023年度の新規事業を紹介
 今定例会では、新型コロナウイルス感染症対策のほか、先端技術の活用や子ども・子育て支援、防災・減災対策といった喫緊の課題に対応するため、より早期の効果発現が求められる新規事業が提案されました。
 その中から、分野別に特徴的な新規事業を紹介します。 ( )は予算額

【福祉・子育て支援】
 昨年度から始まったヤングケアラー等支援体制強化事業(2,772万円)の中で、新規事業として市町村等を支援する専門アドバイザーの配置を進めます。これは、戸別訪問による家庭状況の把握等を行う14の市町村へ助成するものです。
 妊娠届出時からの伴走型相談支援を行う伴走型出産・子育て応援事業(10億2,738万円)では、新たに妊娠届出時に5万円、出生届出時に新生児1人あたり5万円を給付します。

【医 療】
 2024年からは医師にも時間外労働規制が適用されるため、医療機関の働き方改革推進事業(1,796万円)では特定行為看護師などに医師の業務の一部を任せる業務移管(タスクシフト)など働き方改革を支援します。
 循環器病対策推進事業(1,021万円)は、健康寿命の延伸を図るため、主要死亡原因である脳血管疾患や心疾患などの循環器病対策を行います。

【エネルギー・脱炭素社会実現】
 産業界の脱炭素化の動きに対応する「グリーン・コンビナートおおいた」の実現を目指すため、グリーン・コンビナートおおいた創出事業(4,104万円)では次世代エネルギーや炭素循環マテリアル等の拠点化に向けた調査や企業間連携プロジェクト案の編成等に取り組みます。

【生活環境】
 市町村が行う上水道の漏水調査を効率化し、漏水率の改善と水道の基盤強化を図るため、衛星画像を用いた水道管の漏水判定を実施する衛星画像活用水道管漏水調査支援事業(9,900万円)。県は責任を持って取り組み、近い将来に市町村へ事業負担を押しつけるようなことがないように注視していきます。
 プラスチックごみ削減推進事業(2,488万円)は、海洋プラスチックごみの発生源調査や参加型ペットボトルキャップ回収運動の実施など県民・事業者・行政で取り組みます。

【商工業】
 地域課題の解決と県内産業の振興を図るため、AI活用促進事業(4,394万円)でAIの活用に向けた普及・啓発、相談体制の強化、事業化伴走支援を行います。
 飲食店等デジタルマーケティング活用支援事業(599万円)では飲食店や小売店等の売上拡大を図るため、デジタルマーケティングを活用した販売促進の取り組みを支援。
 ポートセールス推進加速化事業(2,821万円)は、大分港(大在地区)など県内港の活性化を図るため、利用促進・集荷推進対策などのポートセールスに取り組みます。
 IT関連企業等のサテライトオフィスの誘致を推進するため、サテライトオフィス誘致推進事業(2,380万円)では進出を希望する企業と市町村のマッチングを新たに行うとともに、民間事業者が行うサテライトオフィス整備を支援する市町村に助成します。

【農林水産】
 増加する加工ニーズに対応し、ブリ類養殖業の経営安定化と成長産業化を図るため、養殖ブリ加工施設整備事業(15億2,160万円)は県漁業協同組合が行う養殖ブリの産地加工処理施設の整備を支援します。
 振興局も、かんしょ産地サル被害対策実証事業(450万円)【中部振興局】、臼杵干潟アサリ復活プロジェクト事業(423万円)【中部振興局】に取り組みます。

【文化・スポーツ】
 芸術文化活用交流促進事業(1,666万円)は、東アジア文化都市2022大分県の開催を契機に、芸術文化国際交流の機運をさらに高めるため、中国・韓国との文化交流に関するサポーターの設置など芸術文化団体による都市間交流等を支援します。
【土 木】
 来春、福岡県との共同開催で大分県で展開されるデスティネーションキャンペーン(DC)に備え、おもてなしの道路等環境整備事業(1億635万円)では観光客等へ安全かつ快適な道路環境等を提供するため、観光地等を結ぶ主要路線の草刈や支障木伐採等を行うとともに、県管理トイレの修繕を行います。

【防 災】
 防災ヘリコプター更新事業(債務負担行為として22億5,023万円)は、飛行安定性を確保した二人操縦士体制を確立し、救助活動の効率化や事故の未然防止を図るため、防災ヘリコプター「とよかぜ」の機体を更新します。
 ※債務負担行為とは、将来にわたる支出をあらかじめ約束することで、実際に支出する場合には予算案が計上されます。【写真は防災ヘリコプター「とよかぜ」

【地域活性・観光】
 日田彦山線BRT「ひこぼしライン」の今夏の開業を契機に、沿線地域の振興を図るため、日田彦山線BRT地域振興支援事業(1億361万円)は地域住民の作成した地域交流拠点の整備などの将来ビジョンの実現を支援する地元市に対し助成します。
 東部海水浴場を核とした活性化推進事業(546万円)【東部振興局】、デジタル活用佐伯の魅力再発見事業(501万円)【南部振興局】、
酒蔵を活用した地域活性化事業(499万円)【豊肥振興局】、ものづくりの街日田活性化事業(500万円)【西部振興局】、宇佐駅機能強化地域・観光活性化事業(500万円)【北部振興局】など振興局も地域活性事業を進めます。

【教 育】
 未来を拓く先端技術活用人材育成事業(1,1129万円)は、情報科学高校にデジタル創造科を新設、大分工業高校電子科の定員倍増の他、県立高校でデジタル人材育成講座を実施。
 教員を確保するため、SNS等を活用した教員の魅力を発信する広報活動等を強化する教員確保に向けた魅力発信事業(224万円)は正直なところ疑問です。このような事業より、教職員不足の原因である多忙化の解消に向けた支援が必要だと私は考えます。

【行政改革】
入札関連手続電子化事業(9,323万円)は、県・市町村及び事業者の物品・役務に係る入札関連手続の事務負担軽減を図るため、共同で利用する電子入札システム及び入札参加資格電子申請システムを開発・導入します。


2022年第4回定例会行われる(2022/11/28~12/14 )

原田、一般質問に登壇 広瀬知事は今春で勇退を表明
 大分県議会2022年第4回定例会が11月28日(月)から12月14日(水)にかけて開催されました。
 広瀬勝貞・大分県知事は、提案理由説明での冒頭、今春の知事選に立候補しないことを報告。知事就任期間中、少子化対策など県の課題に取り組んできたこと、残りの期間も大分県発展のために取り組んでいくと語りました。
 予算議案は、10月から販売を開始した「新しいおおいた旅割第2弾」が好調なことから、割引原資として国からの補助金を活用して26億円の追加の補正案を上程。
 予算外議案は、大分県立病院における一般医療と感染症医療の両立体制を強化するための医師・看護師・臨床工学技士など職員定員の増員を行う大分県職員定数条例の一部改正案。人事委員会の勧告を基にした職員の給与に関する条例等の一部改正案など15議案が上程されました。
 12月5日(月)には物価高騰の負担軽減や観光活性化策などを盛り込んだ本年度一般会計補正予算案(補正額400億2,107万2千円・累計7,747億1,711万円)が追加提案されました。併せて、決算特別委員会の2021年度決算関連議案の審査結果について「事務事業などは議決の趣旨に沿っておおむね適正な執行がされ、総じて順調な成果を収めている」と報告され、認定されました。
 最終日に全て可決されました。


原田、一般質問に登壇
 
12月5日(月)、原田が一般質問に登壇しましたので、その内容を報告します。

 1 教育行政について
(1)教員の人材確保について(知事:教育委員会)
(2)教育現場における再任用について(教育長:教育委員会)
(3)特別支援学級の学級編制について(教育長:教育委員会)
 本県では、教職員の大量退職に伴う大量採用が行われているものの、受験者数の減少とともに受験倍率も低下し、採用予定数の確保自体が困難な状況にあります。現在でも教職員の欠員状況が起きていて、年度途中の病休、産・育休者の代替確保も困難です。
 本県では、教職員に「採用から概ね10年3地域(10年間で3地域で勤務)」の広域異動が実施されています。これは教育改革の一環として2012年度に導入されたもので、周辺部の教職員確保などに効果がある一方、その負担感から他県に人材が流出する要因になっているという指摘があります。
 10月に開催された広瀬知事と県教育委員による大分県総合教育会議では、教職員の人材確保や育成について意見交換が実施されましたが、広瀬知事は「制度を維持しながら、教職員の負担感がなくなるよう改善してはどうか」と見直しを提案しています。
 周辺部の教職員不足を解消するためには、広域異動が必要な面もありますが、現行制度はあまりにも負担を強いていますから、私は見直しが絶対に必要だと考えています。
 こうしたことを踏まえ、教職員の人材確保及び育成についてどのように考えているのか知事に質問しました。また、教育長に広域異動について具体的にどのように見直していくのか、スケジュール面も含め質問しました。

【答弁 広瀬知事】 大量退職期を迎える中、教職員の人材確保は喫緊の課題である。1次試験の免除拡充や他県教諭特別選考などを行っているが、教育委員会にはさらなる工夫をしてもらいたい。10年の間に何度も広城異動を繰り返すことは、教職員への負担が大きいということも聞いている。
 広域異動の制度を維持しながら、教職員の負担感を軽減するよう改善する必要があるのではないかと指摘したところである。教育委員会には市町村教委の意見も聞きながら魅力的な職場環境の構築に向け検討を進め、できるだけ早く結論を出してもらいたいと考えている。
【答弁 岡本教育長】  来年1月に予定する市町村教育長会議を皮切りに、できるだけ早く検討を進めたい。


2 新年度予算に向けた歳入の確保について(部長:総務部)
 来年度の予算編成は、当面は骨格予算、そして新しい知事のもと肉付予算ということになります。
 今年度の予算は、いつもとは違う予算編成でした。当初、私はコロナ禍により県税収入は落ち込むのではないかと考えていましたが、県税収入は企業の業績回復などで法人2税と地方消費税が伸び、過去最高の1,298億円と見込んでいます。しかし、半導体の供給不足、原材料や原油価格の高騰、急激な円安など社会経済状況の不安要素が多く存在することから、これからの財政運営の見通しは、とても厳しくなるのではないかと考えます。
 来年度の予算編成に向け、県税収入や地方交付税をどのように確保し、財政調整用基金残高とのバランスをどう保っていく方針なのか質問しました。

3 医療や高齢者を巡る諸課題について

(1)オンライン診療について(部長:福祉保健部)
(2)後期高齢者医療制度について(部長:福祉保健部)
(3)認知症高齢者等の安全・安心対策について(部長:福祉保健部)
 オンライン診療は医療機関が少ない周辺部の地域で展開されるものと思っていましたが、大分市や別府市などでも始まっています。私も一度オンライン診療を受けてみようと申し込み、先日診療を受けました。
 オンライン診療は別途料金がかかりましたが、とても便利でした。私の場合、診療は夕方の18時からでしたので、なかなか仕事を休めず薬を切らしてしまうような勤労者の方々も、仕事に影響なく受診できる仕組みだと感じました。
 そこで、本県でのオンライン診療推進への取り組み状況とその課題について質問。
 また、県内8市町村で実施されている認知症高齢者等個人賠償責任保険の負担について、全ての市町村で実施されるよう求めました。

4 SNS上の誹謗中傷対策について(部長:生活環境部、教育委員会協議)
  SNS上での誹謗中傷事案に対し、被害者支援等に関する条例が全国で作られつつあります。本県でも条例ができるように取り組んでいきたいと考えています。
 【活動報告の木村響子さんの講演会を御覧ください】

5 地域公共交通について
(1)地域公共交通を巡る計画の策定について(部長:企画振興部)
(2)持続可能な地域公共交通ネットワークの構築について(部長:企画振興部)
 現在、多くの地域で人口減少の本格化に伴い、バスをはじめとする公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、運転者不足の深刻化などにより地域の公共交通の維持・確保が厳しくなっています。他方、高齢者の運転免許の返納が進むなど、受け皿としての移動手段を確保することがますます重要な課題になっています。
 本県では県内を6圏域に分け、持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指し、「地域公共交通網形成計画」及び「地域公共交通再編実施計画」を策定しています。それを具体的に実施するためにも、基礎自治体での地域交通に関するマスタープランとなる計画「地域公共交通計画」の策定が必要であると考え、県内市町村の現状とこれからの進め方について質問しました。
 併せて、乗り物本体を自治体が購入し、運営を民間業者が行うという上下分離方式を用いて、カーボンニュートラル
注1)として水素燃料電池バスを導入するなどの方法もあるのではないかと提案しました。

(注1)カーボンニュートラルとは‥
 工場や車などから出る地球温暖化を引き起こす温室効果ガス(二酸化炭素、メタンやフロン類などのガス)の排出量から森林などによる吸収量を差し引いて、全体としてゼロにする取り組み



2022年第3回定例会行われる(2022/9/7~26)

広瀬知事「対策が事業者まで迅速・確実に届くよう、遺漏なく対応していく」
 9月
7日(水)から26日(月)にかけて、大分県議会2022年第3回定例会が開催されました。素案の段階では27日(火)が最終日となっていましたが、同日は安倍晋三元首相の国葬と重なり、執行部や議会から参列者が出る可能性もあるとして開会日に変更されました。
 予算議案として、補正額92億898万円の一般会計補正予算案(既決予算額7,228億8,944万円)など29議案が上程されました。内容は、原油や物価の高騰が影響する企業や社会福祉施設への支援策。中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持として、県制度資金に1千億円の新規融資枠を設定し今後の資金需要に備えるとしています。
 一般議案では、職員定年引き上げなど新制度の運用に向けた条例の一部改正案、大分県マリンカルチャーセンターの解体工事契約案、2023年度中に就航予定のホーバー旅客ターミナル新築工事契約案(2面にイメージ図を掲載)などが上程。また、県の各種関連団体の経営状況についての報告がありました。最終日の採決で、全て可決されました。

公立中学校の部活動を地域へ移行
 教職員の過度な負担や少子化による部員不足により、学校単位の部活が困難になるケースもあることなど制度の限界が顕在化していることから、文部科学省は、2023年からの3年間で、まず公立中学校の休日の部活動の運営主体を段階的に地域に移す方針を発表しています。
 この部活動の地域移行について、代表質問において県民クラブの木田 昇議員【大分市選出】が県教委の見解を尋ねました。
 岡本天津男教育長は、「各市町村教育委員会へ情報提供するとともに、検討委員会を設置し地域の実情に応じた移行のあり方を検討するよう助言している」と答えました。

全数把握の見直しと独自の仕組みを導入
 現在、大分県では、入院病床を535床、宿泊療養施設を1,370室と過去最大数を確保していると報告しています。この宿泊療養施設の活用と、自宅療養もできるだけ行っていただくことで、医療関係者の負担軽減に努めていくとのことです。
 政府はこれまでの全数把握から、把握を高齢者ら重症化リスクの高い患者だけに限定し、軽症者が自宅療養中の体調急変時に相談ができるフォローアップセンターを全都道府県に設置すると発表しました。
 大分県でも全数把握を見直し、自分で検査して陽性が判明した方や届出対象外の陽性者の方も、新たに開設する24時間体制の健康フォローアップセンターに登録をすれば、支援を受けることができるという独自の仕組みを整えていくとしています。

経常収支比率が87.1%
 自治体の財政状況を考える指標として、財政力指数・経常収支比率・県債残高・基金残高などがあります。また、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率は、健全な財政運営の判断基準として、北海道の夕張市の財政破綻を機に、2007(H19)年度決算から財政健全化法で公表が義務づけられています。
 その中でも、いつも私が特に注目しているのは、経常収支比率と基金残高です。経常収支比率は、財政構造の弾力性を測定する指標で、低いほど財政運営に弾力性があり、政策的に使えるお金が多くあることを示します。100%を越えると政策的な事業を行うことが難しくなり、これが続くようであれば財政危機の恐れが出てきます。
 近年、大分県の経常収支比率は表の通り95%前後で推移していましたが、8月に出た2021年度の決算報告では、なんと7.4ポイント大幅改善の87.1%と報告され、私は驚きました。
 大分市や別府市でも数値的には同様に大幅改善されています。2018年度と2019年度に続けて100%を超えた杵築市においても2020年 度 比8.8ポイント改善され85.6%と報告されています。

2022年第2回定例会行われる(2022/6/14~29)

経済的な打撃を和らげるため補正 50億4,874万円
広瀬知事「物価上昇に対し、国の対策を大いに活用し緊急避難的な事業を進める」
 2022年第2回定例会が、6月14日(火)から29日(水)にかけて開催されました。
 今回の補正額は、国の対策を受けた措置で50億4,874万円。原材料や食料品をはじめ様々のものの値上がりによる経済的な打撃を和らげるため、私立の幼児教育・保育施設や県下内各地の子ども食堂へ助成し、保護者負担を軽減します。また、燃料価格の上昇で打撃を受ける公共交通へ運行経費などを助成します。

 さらに、生活福祉資金の貸し付け事業、生活困窮者向けの小口資金(上限20万円)について、国が受付期限を8月末まで2ヶ月延長したことに対応して予算化しています。
 広瀬勝貞・大分県知事は、「物価上昇に対し、国の対策を大いに活用し、まずは緊急避難的な事業を進める。」と説明しています。

キーワードから探る

 今定例会の一般質問でも、様々な事柄が議論されました。その中から5つのキーワードを取り上げ、考えてみたいと思います。

【生活困窮者支援】 食料品や生活必需品、電気代、ガス代、ガソリン代などありとあらゆるものが値上がりし、逆に年金が引き下げられています。本当に困ったものです。ロシアによるウクライナ侵攻、長期に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響、政府の金融・経済対策の不十分さなど様々な要因が重なっているのではないかと思います。
 県は、生活福祉資金の貸付などに取り組んでいますが、一般質問では県民クラブの馬場 林議員(中津市選出)が貸付後の支援について質問。馬場議員は、「貸付を繰り返すのではなく、生活の立て直しのための総合的な支援こそが必要なのではないか」と指摘しました。

【デスティネーションキャンペーン】 JR各社が取り組む国内最大級の観光イベント「デスティネーションキャンペーン(DC)」が2024年の春、福岡県との共同開催で大分県で展開されることになりました。
 2015年に大分県で開催された際は、133億円の経済効果があったと報告されています。
 県では、「『大分・福岡連携の新たな旅の提案』、『アドベンチャーツーリズムや複数の公共交通機関をITを用いて結びつけるMaaSなど高付加価値化を促進した持続可能な観光の実現』、『県民総参加のおもてなし』を柱に官民一体となった実行委員会を立ち上げる」と説明しています。

【ツーリズムおおいた使途不明金問題】
 先日、大分県の観光振興の中心を担う公益法人ツーリズムおおいた事務局の記者会見が行われ、5,700万円の使途不明金が発生していることが公表されました。必要な手続きをせず現金が繰り返し引き出されており、会計ソフトの記録も改ざんされていたと報道されています。
 定例会での答弁では、問題判明後に立ち上げられた外部調査委員会により、通帳・銀行印の管理を含む支払い手続き等の内部管理が不十分であったことが明らかになり、大分中央署に告訴しているとのことでした。
 大分県からツーリズムおおいたへは、国内誘客総合推進事業(2022年当初予算で8千万円)やインバウンド推進事業(同1億1千万円)など、毎年、総額3億円近くの観光に関わる各種事業委託が行われていますが、事業委託分については、正常に施行されていることが県の監査で明らかになっています。
 いずれにせよ、県行政に関わる団体として、早期の全容解明が求められます。

【副学籍制度】 医療的ケアが必要な児童についての問題に関わり、今定例会で副学籍制度が取り上げられました。
 副学籍とは、特別支援学校に通う児童生徒が、自宅近くの小中学校にも籍を置き、地域の一員として学び合う「副次的な学籍」です。この副学籍制度は、直接交流や間接交流を通じて、居住地域とのつながりの維持・継続が図れるとされています。現在、東京都や埼玉県、横浜市など6都県3政令指定都市で導入されています。
 「カリキュラムの調整」、「児童生徒の付き添い」、「学習評価」など現実的な課題もあるようですが、インクルーシブ教育注1の推進に効果があるのか、副学籍制度についてこれから調べてみようと考えています。

 注1 インクルーシブ教育とは
 「共生社会」の実現を目指し、子どもたちの多様性を尊重し、障害があるないに関わらず同様に教育・指導する仕組みです。


【インボイス制度】
 先日、広告や出版物のデザインを個人で請け負っている知人から、「インボイス制度注2が実施されたら、これまでの様な仕事ができなくなる。」との不安の声が届きました。
 来年10月から実施されるインボイス制度は、今定例会でも取り上げられました。
 この制度について、県としては「税制の公平性や透明性の確保、消費税の適正な課税を行うために必要である」とし、「その実施が中小事業者の事務負担や取引に与える影響を懸念する声があることも承知しており、制度の周知・広報や必要な支援を行っていく」との答弁でした。
 国や県による支援を注視していきます。

 注2 インボイス制度とは
 インボイス制度(適格請求書等保存方式)は来年10月から実施される消費税の申告制度で、「商品に課税されている消費税率・消費税額を請求書のなかで明記する」という「適格請求書(インボイス)方式」となり、事業者はそれに基づいて消費税を納税するものです。
 インボイス(適格請求書)には「適格請求書発行事業者の登録番号」の記載が求められ、その発行は登録事業者だけが行えるとしています。
 これまで、課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されていましたが、この制度実施後は、適格請求書発行事業者として登録すると、納税しなくてはなりません。
 登録しないと、納税義務は引き続き免除されるものの、インボイスを発行できないために、取引相手が消費税の仕入税額控除ができなくなります。その結果、取引してもらえないケースが出てくるのではないかと危惧されます。



2022年第1回定例会行われる(2022/2/24~3/25)

過去2番目となる当初予算 総額 7,178億円
広瀬知事「ポストコロナ社会の県づくりを力強く、効率的・効果的に展開」

 2月24日(木)から3月25日(金)にかけて2022年第1回定例会が行われました。会期中には予算案を集中審議する予算特別委員会も行われました。
 今回、可決された当初予算は、総額7,178億4,100万円となり、昨年度当初を151億円(2.2%)上回る過去2番目の規模となりました。これは、平松守彦・前知事時代の2000年度当初予算(7,206億円)に次ぐ大型予算で、総額が前年度を上回るのは9年連続。
 感染拡大防止に前年度当初と比べ52億の大幅増となる247億円を充てるほか、重要政策と位置づける先端技術・デジタル活用による社会変革、低迷が続く県農業の活性化に向けて農林水産業の成長産業化などの政策経費を意欲的に盛り込んでいます。

 歳入では、大幅増となった県税収入や国からの地方交付税を活用して財源を確保しています。なお、財政調整用基金の取り崩しは2021年度と同額の65億円にとどめています。
 広瀬勝貞知事は、「新型コロナへの守りを固めつつ、進展する技術革新を取り込み、ポストコロナ社会の県づくりを力強く、効率的・効果的に展開していく」と説明しています。
 コロナ禍の中にもかかわらず、県税収入は製造業・金融関係・IT関係等の業績が伸び過去最高額を見込んでの予算編成となっています。別府の基幹産業である観光飲食業などで感じる不況感とのギャップに、原田は戸惑いを感じています。


 2月28日(月)には、1月専決の報告と2月補正が提案されました。内容は、国の補正を受けて「新たなGoToトラベル」(113億円)、軽症及び無症状の方の療養のためのホテル確保や医療設備補助等の感染症対策(72億円)、大分農業文化公園等整備推進事業(8,896万円)、食肉生産流通多角化支援事業(1,333万円)などで、先議案件として3月3日(木)に可決されています。

大幅な県税収入の増に驚きました
 私はコロナ禍により県税収入は落ち込むのではないかと考えていましたが、県税収入は企業の業績回復などで法人2税と地方消費税が伸び、155億円(13.6%)増となる過去最高の1,298億円と見込んで予算編成されています。ちなみに、別府市においても市税収入は7.3%増とする予算編成となっています。
 この県税収入の増加に関し、予算特別委員会で和田雅春・総務部長に質問すると、「県内では、ホテル・旅館・飲食等の観光飲食業は厳しい状況である。他方、法人関係税収の多くを占める製造業や金融関係はコロナ禍前と変わらない業績、IT関係に至ってはコロナ禍前よりも業績を伸ばしていることもあり法人関係税収を押し上げている。その結果、県税収入全体として過去最高の見込みとなっている。」との答弁でした。
 他県の状況を調べると、例えば秋田県の前年度比14.8%増のように、大分県と同様に多くの県で、「製造業などを中心に企業業績が伸びている」「コロナ禍前の水準に回復する」として、県税の収入増となっているようです。
 しかし新潟県では、県税収入増であるものの「半導体の供給不足、原材料や原油価格の高騰による下振れリスクに注意が必要で、最終的にどうなるかは精査が必要だ」とも説明しています。大分県でもこれからの推移を注視していく必要があります。

「日米地位協定の見直しを求める意見書案」を可決
 最終日の3月25日(金)、意見書案の採決が行われ、「日米地位協定の見直しを求める意見書案」が賛成多数で可決されました。日米地位協定の見直しに関わる意見書案が可決されたのは初めてのことです。
 当初は否決される見通しでしたが、感染による欠席が影響し微差で可決しました。

2022年度の新規事業を紹介します
 分野別に特徴的な
新規事業を紹介します。なお、赤字は社会経済の再活性化や大分県版地方創生を進める予算特別枠「ポストコロナおおいた挑戦枠事業」(109事業・23億5,100万円)。緑字は県下6カ所ある振興局枠「地域課題対応枠事業」(8つの新規事業を含め19事業・7,085万円)です。地域課題対応枠事業は3年を目安として事業展開されます。黒字は継続事業です。         ( )は予算額
【福祉】
 大きな社会問題となっているヤングケアラーなど支援を必要とする子どもや児童虐待のおそれのある家庭を早期に発見し、適切な支援に繋げるため、見守り・相談体制の構築のほか周知・啓発等に取り組む
ヤングケアラー等支援体制強化事業(1,840万円)を予算化。
 昨年10月に県内の小5~高3までの全児童生徒の約8万人にアンケート調査したところ、2,315名が「世話をしている家族がいる」と答え、うち724名が「世話をしているために勉強や自分の時間が取れない」と答えています。
 オンライン診療推進事業(1,230万円)は、地域の実情に応じたオンライン診療を推進するため、オンライン診療対応医療機関を見える化し、在宅医療現場での実装を進め、国東市国見町と竹田市久住町で実証を行います。
【教育・人材育成】
 支援学校施設整備事業(11億4,048万円)では、第三次大分県特別支援教育推進計画に基づいて施設整備が進められていますが、この中に別府地区の特別支援学校の改修基本設計に関わる予算がさっそく計上されました。
 工業系高校において推地域とつなぐ技術人材育成事業(3,008万円)、商業系高校において大分の未来を担うビジネスリーダー養成事業(1,594万円)、福祉系高校において地域を支える福祉人材育成事業(222万円)など、それぞれの高校の特色に応じた人材育成事業が予算化されています。
【感染対策】
 感染症発生時等の感染対応力を強化するため、感染対応力強化推進事業(670万円)では、医療機関や施設職員等に対する研修を実施するとともに、感染管理認定看護師(大分県には現在35名)の資格取得を支援します。
防災】
 1月22日(土)未明の日向灘地震では、お怪我や被害はなかったでしょうか?おおいた防災・減災対策推進事業(1億5,000万円)は、災害に強い人づくり・地域づくりを推進するため、市町村などが設置する避難所の環境改善や地域の防災活動等へ助成します。
 災害危険度の把握が可能なプラットフォーム「EDiSON(エジソン)」の試行活用や検証等を行う先端技術を活用した企業防災力向上事業(1,050万円)は、県内企業の防災力向上を目的に、AIが災害を予知する仕組みを作ります。
 田んぼダム流域実証事業(1,000万円)は、流域治水プロジェクトに取り組む地域で、大雨時に水田に水を貯める「田んぼダム」の洪水調節機能の実証を行います。宮城県の実証実験では、大雨時にピーク流量(最大排水量)を60%~70%抑制できたそうです。
【DX(デジタルトランスフォーメーション)
 進化したIT技術を浸透させることで、生活をより良いものへと変革させるDXの分野では、おおいたDX共創促進事業(1億3,351万円)を予算化。民間事業者等のDXを推進。DXに取り組む事業者と支援する企業を繋ぐパートナーシップの形成やモデル事例の創出に向けた伴走支援等を進めます。
 建設産業においても生産性向上を図るため、ICT(情報通信技術)施工に取り組む建設業者に対し支援するほか、県発注工事においてカメラ映像を利用した遠隔臨場等に取り組む建設産業DX推進事業(2,679万円)を進めます。
【文化・地域活性】
 中国温州市・済南市、韓国慶州市と連携し、文化を通じた交流による東アジアの新たな未来を切り拓く
東アジア文化都市2022大分県開催事業(3億5,176万円)を開催し、多様な芸術文化イベントを実施・発信するほか、芸術文化団体による都市間交流等を行います。
 2023年10月に日田市で開催予定のツール・ド・九州2023の大分ステージの準備を進めるツール・ド・九州推進事業(3,205万円)は、サイクルスポーツの普及拡大とサイクルツーリズムを通じた地域活性化を図ります。
 大分の食文化を持続可能性の視点で再評価するサステナブル・ガストロノミー(持続可能な食文化)促進事業(545万円)
【中部振興局】は、観光資源としても活かせそうです。
【観光】
 2月補正として可決された「新たなGo To トラベル」事業を進める他、宿泊事業者の経営力向上や課題解決を促進するため、デジタルデータの活用によるマーケティング支援等を進める宿泊事業者デジタル活用促進事業(1,378万円)に取り組みます。
 また、
観光農業連携地域活性化事業(490万円)【豊肥振興局】、人気の高い自然体験型の観光コンテンツを進める個人客向け体験型滞在観光促進事業(544万円)【西部振興局】を展開します。
【生活環境・交通】
 空き家対策促進事業(9,260万円)は、空き家の適切な管理と利活用を促進するため、所有者や利活用者に応じた総合的な対策を実施します。県の調査では県内に約48,700戸の空き家があるとのことです。空き家率は8.6%で全国17位となっています。
 2023年度中のホーバー就航に向けた大分空港を起点としたMaaS実証事業(1,000万円)は、一つのアプリ上で多様な交通手段が検索・予約・決算できる仕組みMaaS(マース)アプリを利用する取り組みです。
【移住・雇用創出】
 大分県には5年連続で1,000名以上の方が移住されています。県が市町村を通して行う移住者居住支援事業に引き続き取り組むとともに、
姫島ITアイランドを活用したワーケーション促進事業(499万円)【東部振興局】県北地域外国人労働者就業環境等整備促進事業(500万円)【北部振興局】なども行います。
【農林水産】
 白ねぎなど大分県の顔となる園芸品目の育成を図るため
おおいた園芸産地づくり支援事業(20億6,676万円)は、「生産拡大計画」を進め、まだ県内にはない100億円規模の園芸の創出を目指すとのことです。写真の味一ねぎは、60~70億円規模だそうです。